援助の必要性と救援基金


ビルマ*1を襲ったサイクロンは、
現時点の推定で死者10万人を出す未曾有の被害をもたらしました。
被災地では飲料水、食料、医療品をはじめとする必要物資が不足している他、
今後は衛生状況の悪化に伴う疫病の蔓延など深刻な事態が予想されます。


現在ビルマは一年で最も暑い暑期を迎えており、
被害の大きい南部地域でも気温は30度を超えています。
このため遺体や瓦礫などの腐敗が急速に進むことが予想される他、
子供や老人、怪我人などの衰弱が懸念されます。


さらに、もうしばらくすると何ヶ月も続く雨季がやって来るため、
コレラマラリアデング熱などの伝染病の流行や、
土砂災害などの二次災害も予想されます。


一刻も早く、効果的な援助を行うことが必要です。


国際社会は次々に物的・人的・経済的支援を申し出ていますが、
懐疑心の強い軍政はビザ発給などの手続きに時間をかけており、
被災者にはいまだに援助が行き渡らない状況が続いているそうです。


また、今月10日に予定されていた新憲法を巡る国民投票は、
このような緊急事態にも関わらず一部の地域を除いて強行される見通しです。
これに伴い、軍政はさまざまな不公正を世界の目に触れさせないため、
投票終了までは国外からの援助をほとんど受け入れないという説もあります。


このため、様々な団体が緊急の救援基金を設置し募金を募っていますが、
軍政の妨害などにより、残念ながら援助が被災者に届かなかったり、
最悪の場合、着服されたり流用されたりする可能性も十分に考えられます。


したがって、いずれかの団体を通じての支援を考えていらっしゃる方は、
活動状況や支援計画などをご自分で調べ、
信頼できると判断した上で
募金なさるようお勧めします。


及ばずながら、以下に救援基金を設置しているいくつかの団体を列記します。
なお、このリストはぼくが個人的に調べられる範囲で作成したものです。
ご希望の形の支援がこれらの団体を通じて実現されるかどうかは分かりかねますし、
ここに挙がっていなくても信頼に足る団体は他にも多くあるはずです。
このあたりをご理解いただいた上で、参考にしていただければと思います。



【日本国内】
日本ユニセフ「ミャンマー・サイクロン緊急募金」
日本赤十字社「ミャンマー・サイクロン災害救援金」
日本ビルマ救援センター「ビルマ・サイクロン被災者緊急支援基金」


【イギリス国内】
UNICEF UK - Myanmar (Burma) Cyclone Children's Appeal
The Burma Campaign UK
(国内外で援助金を受け付けている団体のリストが掲載されています)

*1:別名「ミャンマー」。

サイクロンの被害と軍政による対応の遅れについて


5月2日から3日にかけて大型のサイクロンがビルマ*1を襲いました。
時間が経つにつれ、被害の深刻さが明らかになってきています。


軍政当局の発表によれば、
死者は1万人、行方不明者は3千人を超える見通しとのことです。
また、新華社通信は軍政関係筋からの情報として、
死者は少なくとも1万5千人に上る可能性があるとの見解を伝えています。
さらに、Guardian紙は100万人以上が住む家を失ったと報道しています。


今回の災害はビルマ史上最悪の被害をもたらしたといわれていますが、
その一方で人災としての側面を指摘する声も上がっています。


The Burma Campaign UKは、軍政がプロパガンダに力を注ぎ、
予想されていたサイクロンの危険性について事前に警告することを怠ったため、
結果として被害を拡大させたとの主張を展開しています。
ビルマでは軍政が起草した新憲法案を巡る国民投票が今月10日に行われる予定で、
国営新聞にはこれを支持するよう促す記事ばかりが掲載されていたとのことです。


The Irrawaddy紙も、
軍政がいまだにこの国民投票に関する内外へのアピールに腐心しており、
救助活動や治安回復に本腰を入れていないと指摘しています。
同紙は軍政による救援活動の遅れに対し市民が不満を募らせていると伝え、
各国からの援助が行き渡らない可能性もあるとの懸念を表明しています。


事実、救助活動や復旧作業は被災から3日が経った今もほとんど進んでいないそうです。
毎日新聞ヤンゴン在住の男性からの情報として伝えたところによれば、
現地では電気や水道が止まったままで、食品の価格は2倍以上に高騰しています。
BBCも、軍政はすでに関係組織をすでに各地に展開しているものの、
組織立った救援活動を行っていないとする目撃情報を伝えています。


衛生事情の悪化に伴う伝染病の蔓延なども懸念されており、
今後の対応次第では、市民の怒りが軍政に向けられることも考えられます。


彼の地に暮らす友人の無事を願い、すべての被災者のために祈ります。


【追記 (21:15)】
軍政がサイクロンの被害に関し新たな声明を出しました。
つい今しがた、ReutersBBCが伝えたものです。
これによると、サイクロンによる死者は22,500人、行方不明者は4,1000人に上るそうです。
被害の凄まじさに打ち震えます。

*1:別名「ミャンマー」。

去っていった四月を偲んで


大好きな詩人グールモンの、
大好きな「柊」という詩を。

シモーヌ 太陽は柊の葉の上に笑い、
四月は また帰って来た 僕らと遊ぶため。


四月は 肩に花籠を載せて来る、
四月は 花を野ばらにやる 橡(つるばみ)にやる 柳にやる。


四月は 野の草の間に 一つ一つ花を撒く、
小川の岸へも 堀ばたへも 溝のふちへも。


四月は ふさわしい場所で枝をひろげさせるために、
水のためには長生草(うきぐさ)を 森のためには石楠花(しゃくなげ)を 除けて置く。


四月は 木蔭に菫の花をまき散らす 木苺の下蔭に、
四月は勢いよく素足の爪先で 菫の花をかくし 菫の花を埋める。


四月は あらゆる牧場にデージーをやる、
鈴のネックレスをした桜草をやる。


四月は 森の清らかな小径に沿って
鈴蘭とアネモネをこぼして行く。


四月は 家々の屋根に 燕子花(かきつばた)を植えもする。
そうしてシモーヌ 日あたりのいい僕らの庭に、


四月は来て おだまきと はな菫と ヒヤシンスと、
丁子のいい匂いをただよわせる。


レミ・ド・グールモン「柊」(『シモーヌ 田園詩』より)
堀口大學訳(『堀口大學全集』小沢書店)[括弧内、原文では振り仮名]




【参考】
レミ・ド・グールモン Rémy de Gourmont:生涯と作品 (壺齋閑話)
Rémy de Gourmont (1858-1915) (Pegasos)

善福寺川


杉並区の善福寺川のほとりを散策し、満開の桜を楽しんできました。
井の頭線西永福駅から10分ほどで大宮八幡宮に到着。
川沿いの遊歩道へと下り、和田堀公園から善福寺川緑地の外れまで歩きました。
川の両岸にはいろいろな種類の桜が春は今と咲き誇り、川面に映えて実にきれいです。
また、桜以外にもヤマブキやレンギョウなど様々な植物が見られます。
平日の昼間ということもあってか人出はそれほど多くなく、
往復3時間ほどかけて、のんびり楽しく散歩することができました。



【参考】
大宮八幡宮

和田堀公園 (公園へ行こう!)
善福寺川緑地 (公園へ行こう!)








Ahern首相、退陣へ


アイルランドBertie Ahern首相が辞任の意向を発表しました。
5月6日をもって首相および与党党首の座を辞するとのことです。
収賄疑惑を追及する動きが高まっていた矢先の辞意表明で、
今後の動きが注目されます。


Ahern氏は以前から汚職の噂が耐えなかったものの、
首相就任以来Celtic Tiger (ケルトの虎)と呼ばれる好景気を支えてきました。
また、北アイルランド問題やEU憲法を巡る折衝において指導力を発揮し、
国際的には評価の高いリーダーであったといえるでしょう。


ケルトの虎が往時の勢いを失いつつあるこの時期に、
10年以上に渡り政治の中心に君臨し続けてきた首相が退陣します。



【参考】
Taoiseach resigns (The Irish Times)
Ahern to resign as Taoiseach and FF leader on May 6th (Independent)
Ahern era drawing to close (BBC News)

語らいの友


一昨日のこと、大学時代からの親友Mさんと上野へ出かけてきました。
小雨降る中、満開の桜を愛でつつ上野公園と周辺をぶらぶら散策。
その後、雨脚が強くなってきたので駅へと戻り、
構内の英国風パブRose & Crownに入ったのが4時頃だったでしょうか。
のんびりグラスを傾けながら閉店間際まで近況を語り合い、
実にゆったりと、楽しい時間を過ごすことができました。


Mさんには昔からおしゃべりに付き合っていただくことが多く、
学部生の頃は学食や大学近くのお店などで何時間も語らったものです。
興味を持つ事柄や考え方、感じ方に似通ったところがあることに加え、
ふとした間に降り立つ沈黙を共に楽しむことができる、
ぼくにとってはなんとも心安い話し相手なのです。


大学を出てからはそれぞれ大きく異なる道を歩んでいるものの、
時折共通の友人らと一緒に遊びに出かけたり、
数年に一度は今回のようにじっくり話し込んだりと、
変わらずお付き合いいただいているのは嬉しい限り。
いつまでも、よき友でいられますように。




この写真は上野ではなく中目黒の目黒川で撮ったものですが、
あまり夜桜を見たことがないというMさんのために。

エイプリルフール後記


3月31日付けのこの一言
一応エイプリルフールの冗談のつもりで書いてみたものです。
書き込んだのは4月1日当日になってからでしたが、
以前触れた「2007年に反対するデモ」に着想を得て、
わざと前日の日付にすることで4月の到来を否定してみました。


ただ、改めて見返してみると地味な上に分かりにくいですね、これ。
ひねったつもりで失敗した感が濃厚ですが・・・
まあ、はてなスターを二つもいただいたので、良しとしましょう。
スターをくださったdlitさん、ありがとうございます!