サイクロンの被害と軍政による対応の遅れについて


5月2日から3日にかけて大型のサイクロンがビルマ*1を襲いました。
時間が経つにつれ、被害の深刻さが明らかになってきています。


軍政当局の発表によれば、
死者は1万人、行方不明者は3千人を超える見通しとのことです。
また、新華社通信は軍政関係筋からの情報として、
死者は少なくとも1万5千人に上る可能性があるとの見解を伝えています。
さらに、Guardian紙は100万人以上が住む家を失ったと報道しています。


今回の災害はビルマ史上最悪の被害をもたらしたといわれていますが、
その一方で人災としての側面を指摘する声も上がっています。


The Burma Campaign UKは、軍政がプロパガンダに力を注ぎ、
予想されていたサイクロンの危険性について事前に警告することを怠ったため、
結果として被害を拡大させたとの主張を展開しています。
ビルマでは軍政が起草した新憲法案を巡る国民投票が今月10日に行われる予定で、
国営新聞にはこれを支持するよう促す記事ばかりが掲載されていたとのことです。


The Irrawaddy紙も、
軍政がいまだにこの国民投票に関する内外へのアピールに腐心しており、
救助活動や治安回復に本腰を入れていないと指摘しています。
同紙は軍政による救援活動の遅れに対し市民が不満を募らせていると伝え、
各国からの援助が行き渡らない可能性もあるとの懸念を表明しています。


事実、救助活動や復旧作業は被災から3日が経った今もほとんど進んでいないそうです。
毎日新聞ヤンゴン在住の男性からの情報として伝えたところによれば、
現地では電気や水道が止まったままで、食品の価格は2倍以上に高騰しています。
BBCも、軍政はすでに関係組織をすでに各地に展開しているものの、
組織立った救援活動を行っていないとする目撃情報を伝えています。


衛生事情の悪化に伴う伝染病の蔓延なども懸念されており、
今後の対応次第では、市民の怒りが軍政に向けられることも考えられます。


彼の地に暮らす友人の無事を願い、すべての被災者のために祈ります。


【追記 (21:15)】
軍政がサイクロンの被害に関し新たな声明を出しました。
つい今しがた、ReutersBBCが伝えたものです。
これによると、サイクロンによる死者は22,500人、行方不明者は4,1000人に上るそうです。
被害の凄まじさに打ち震えます。

*1:別名「ミャンマー」。