訃報:William Bright氏

アメリカのKaruk語やインドの諸言語の研究で知られるWilliam Bright氏がお亡くなりになったそうです。氏は文字・書記体系の研究でも多くの業績を残され、1996年には「書記体系研究のバイブル」とも呼ばれる大著The World's Writing SystemsをPeter T. Daniels氏との共編で刊行されました。また、Written Language and Literacy誌の創刊に尽力され、初代の編集長を務められました。

ぼく自身は個人的にお目にかかったことはありませんが、2003年にGICASによって開催された国際シンポジウム「インド系文字:過去と未来(Indic Scripts: Past and Future)」に出席した際、氏の基調講演How Written Symbols Change : Toward a Historical Grammatologyを拝聴する機会に恵まれました。主に文字の伝播や借用などを扱う新しい研究領域の構想に関するお話だったと記憶していますが、大学院に入学したばかりのぼくにとって非常に刺激的な内容だったことを鮮明に覚えています。

文字・書記体系の研究に大きな影響を与えられたBright氏のご冥福を心よりお祈りします。


・"Death of Bill Bright" (LINGUIST List)
 http://linguistlist.org/issues/17/17-3050.html


・William Bright氏のホームページ
 http://www.ncidc.org/bright/