退任後のブレア首相に関する新たなニュース


イギリスのブレア首相。
退任後の身の振り方についてさまざまな説が飛び交っていますが、
プライベートについてもちょっと興味深い話が出てきました。
首相の座を退いた後、カトリック教徒に改宗するというのです。


The Guardian紙などが伝えるところによると、
ブレア氏は学生時代にカトリックへの共感を抱くようになり、
その後30年間に渡り改宗について考えてきたとのことです。
家族と共にカトリックのミサに出席することもしばしばで、
時には個人的に教会を訪れたり、
司祭たちと宗教や信仰に関する様々な問題、
とりわけ改宗について話し合ったりすることもあったとか。


そのブレア氏がこれほど長い間改宗を先送りにしてきた背景には、
イギリスの政界におけるカトリック教徒の立場の特殊性があるようです。
現在イギリスでは、カトリック教徒であることによる社会的不公平は、
国王との結婚や王位の継承を除けば、少なくとも公式には認められていません。
現にカトリック教徒の国会議員も存在し、中には政党の党首となる人います。
しかし、カトリック教徒の政治家は、政策の決定に際し、
民意ではなくヴァチカンの方針を尊重するのではないかという見方が根強く、
イギリスやアメリカでは問題視されることが少なくないそうです。
カトリック教徒の政治家たちはそのようなことはないと主張していますが、
教会が特定の政治家に圧力をかけていることが知られているため、
まったく根も葉もない噂というわけではないようです。


ブレア氏が在任中の改宗を見送ってきたのはこのような事情によるものでしょう。
彼は自身の信仰と政治家としての信念とを切り離して考えるようで、
同性愛者の権利、人工中絶を巡る議論、イラク戦争への加担などについては、
ヴァチカンからの強い批判をはねつけて政策を実行に移してきました。
そういう意味で、ブレア氏は政治を信仰に優先してきたといえると思います。


この話題、もしかしたら噂としては以前からあったのかもしれませんが、
ぼく自身は今日初めて知ったニュースで、少なからず驚きました。
妻のシェリー夫人とその子供たちがカトリック教徒であることは有名で、
ブレア氏も彼らに近い考え方をするらしいということは知られていますが、
これほど真剣に改宗を考えていたというのは、
上で述べたような彼が行なってきた政策を鑑みると意外な感じもします。


ぼくが個人的に興味を覚えるのは、彼のカトリックへの共感が、
北アイルランドの和平交渉のプロセスに影響を与えてきたのかどうか、
与えてきたとすれば、それはどの程度明白なものだったのかというところ。
自分でリサーチしてみようというほどではありませんが、
ちょっと面白いテーマかもしれません。





After 30 years as a closet Catholic, Blair finally puts faith before politics (The Guardian)
http://politics.guardian.co.uk/tonyblair/story/0,,2108865,00.html


Google News UK ("Blair, Catholic"で検索した結果)
http://news.google.co.jp/news?hl=en&ned=uk&ie=UTF-8&ncl=1117485467