アイルランド!


ラグビーのSix Nationsで、
アイルランドイングランドに対し43-13で快勝しました。
アイルランドにいた頃、少しだけラグビーをやっていたぼくとしては、
非常に嬉しいニュースです。


さて、今回のゲームは両国間の和解を象徴するものです。
試合が行われたのはダブリンのCroke Park Stadium、
いわゆる血の日曜日事件の舞台となった場所です。


事件が起きたのは1920年11月21日の午後、
ゲーリックフットボールの試合が行われていた当スタジアムで、
突然イギリス政府軍が拳銃と機関銃による無差別発砲を開始し、
選手や観戦中の子供を含む14人が惨殺されました。
その後の独立運動が先鋭化していくきっかけとなった事件の一つです。


この事件、当時アイルランド共和国軍IRA)が繰り広げていた
暗殺作戦に対する報復措置であったと言われています。
要するに、憎しみの連鎖が引き起こした悲劇といえるでしょう。


血の日曜日事件以降、
イギリス由来のスポーツはご法度だったというCroke Park Stadium。
その場所で、アイルランドイングランドラグビーマッチが行われたわけです。
試合にはアイルランドのアハーン首相とマカリース大統領が出席し、
多くのアイルランド人が涙を流しながら両国の国家を斉唱したとか。
幸いなことに過激派による妨害活動の懸念も杞憂に終わり、
結果として和解と平和を求める気運が結実した出来事となりました。


個人的にはイギリスに対するわだかまり
まだ完全に消し去ることができずにいるのですが、
今回の象徴的な出来事については心の底から祝福したいと思っています。
寛容と隣人愛を尊ぶアイルランドの精神を愛する者として、
「許そう、だが忘れまい」ということばを胸に刻みながら。



・Hair-raising cry of anthems fills Croker with pride and joy (THE IRISH TIMES)
 http://www.ireland.com/newspaper/frontpage/2007/0226/1172185106645.html


・Ireland deliver on momentous day (THE IRISH TIMES)
 http://www.ireland.com/sports/rugby/2007/0225/1172185084729.html


・Bloody Sunday (GAA)
 http://www.gaa.ie/page/bloody_sunday.html


・Bloody Sunday (1920) (Wikipedia
 http://en.wikipedia.org/wiki/Bloody_Sunday_(1920)