研究会


昨日は所属する研究室の研究会が開催されました。院生が中心となって企画・運営するこの研究会も第3回となりましたが、今回は準備不足や不手際もあり、取り組むべき課題が浮き彫りとなりました。来年以降の開催に向け、問題点を洗い出し、改善していかなければ・・・


とはいえ、今年も多くの優れた研究発表に恵まれ、とても有意義な会であったと思います。個人的にとりわけ感銘を受けたのはN先生のご講演でした。音韻論、それもぼくが以前から興味を持っていた最適性理論に関するお話で、大変勉強になりました。従来の規則と派生による音韻理論から、制約とその順序付けによる音韻理論へ。その理論的なシフトの重大さについて聞きかじってはいたのですが、「なぜ制約でなければならないのか、なぜ派生ではいけないのか」が理解できず、一つの新しいオルタナティブなのだろうくらいに考えていました。まだまだ勉強不足のため分からないことは数多くありますが、先生のお話を伺い、規則と派生では説明の付かない現象が存在することが、おぼろげながら理解できたように思います。


脱線しますが、最近は書記体系の分野においても最適性理論を適用した研究が見受けられます。書記体系を支配するさまざまな規範の中には、互いに矛盾または競合するようなものが少なからず存在するようです。最適性理論の大きな前提である「違反可能な制約の順序付け」という考え方は、そのような規範の相互関係を記述・説明していく上で、強力なベースを与えてくれるように思います。一方で、最適性理論には、通言語的な普遍性という、もう一つの大きな前提があるはずです。このような前提を持った理論を、人工的で文化的な産物であり、個別的に発達していく書記体系の分析に適用するためには、その妥当性を明確な形で主張していかなければならないと思います。(おそらくこの問題についてはすでに多くの議論があるのでしょうが。)


研究会終了後の懇親会でN先生とお話しする機会に恵まれ、このあたりについてもご意見を伺うことができました。細かい内容は省略しますが、ぼくのちぐはぐな質問に対しても真剣に向き合ってくださいました。大変嬉しく、心から感謝しております。