テロについて

イギリスでまたテロ計画が発覚したそうです。
ネット版のBBCやTimes紙などの報道によると、
旅客機爆破を狙った爆弾が10個以上見つかったとか。
昨年7月7日のロンドン同時多発テロを彷彿し、
あの日の戦慄を思い起こしています。

テロは恐ろしいものです。
ぼくはアイルランドで暮らしたことがありますが、
当時はまだ紛争が激しい頃で、
北部では爆弾テロや暴力事件が頻発していました。
ぼくは南部のアイルランド共和国に済んでいたため、
「トラブル」を目の当たりにすることはありませんでしたが、
テロのニュースが入るたびに感じたあの重苦しい雰囲気は、
今でも忘れることができません。

テロは恐ろしいものです。
ある地域で生まれ育ったとか、
ある価値観を持っているとか、
ある肌や目の色をしているとか、
ある時ある場所に居合わせたとか、
そういう理由で、顔も知らない誰かしらによって、
顔も知らない誰かしらと共に殺されるからです。

テロは恐ろしいものです。
人間が人間でなくなってしまうからです。
鬼ではないはずの人間が鬼となり、
尊厳を持つはずの人間がその尊厳を踏みにじられるからです。

テロは恐ろしいものです。
善悪の欺瞞が暴き立てられるからです。
偉大な英雄である残酷な人殺しが、
憎むべき敵である不憫な犠牲者を引き裂くからです。

憎しみに心を奪われる人間と、
それにより命を奪われる人間とが、
なんとかして歩み寄り、
和解できるよう祈ります。